証憑
証憑
これ、特に「憑」の字がちょっと難しい漢字なんですが、読めますかね?「証憑」で「しょうひょう」と読みます。「商標」と同じ読み方でして、日本語でしたらあまり気にする必要は無いのですが、イントネーションも同じです。
どんな意味なのかと言いますと、会計屋さんや税金屋さんと法律屋さんではちょっと意味が違うのですが、会計屋さんや税金屋さんですと領収書などの資金使途を証明する書類関係を主に指しまして、法律屋さんですと有形無形問わずに証拠全般を指します。私どちらかと言えば法律屋さんなのですが、今日は領収書の方として証憑の事を書きたいと思います。
会社で何かを購入した際、特に個人で立て替えたり仮払いを精算したりする際には、必ず「領収書」を出金伝票なりに貼付して精算をするかと思います。これ、2つの意味がありまして、1つは会計上もう1つは税務上の理由です。「会計と税務」特に意識しなければゴッチャにして考えてしまいそうなのですが、会計は主に社内に対して内向きな事、税務は主に社外に対して外向きの事と考えると、分かりやすいかと思います。もちろん、この2つは密接に関係しておりますので、完全に分離する事が出来ませんので、その辺が分かりにくさの根本かもしれません。
昨年末、なんやら新しい会社が子会社になりまして、正式には今年に入ってから業務関係を統合させたりしているのですが、毎回毎回この業務をしておりますと出て来る問題があるんです。うちの会社が子会社にするような会社ですと、零細企業から大きくても「中小企業の下」くらいの会社ですw 小企業と言ってしまった方が早いのですが、この中小企業と言う名称も法律用語なのでそのまま使ってみましたw
で、零細企業や小企業ですと何が問題になるのか。今日のタイトルが証憑と言う事で、勘のいい方は既に気が付いているかもしれませんが、新たに子会社化した会社の経理部門で保管してある領収書等が・・・
領収書なんです。
「領収書なんだから、領収書だろ?」と思うかもしれませんが、いまの時代に領収書、しかも手書きの領収書では、税務調査が入った時にほとんど乗り切れません(汗;
これ、Wikipedia の領収書 の項目からお借りした、領収書 *1の見本画像です。
ご覧頂ければ分かります様に、何を買ったのかは正直これでは分かりにくいと言うか、全く分からない物も多くあります。対して、いつも皆さんも買い物した時にもらうレシートですと、これスーパーのヤオコーさんのレシート見本をお借りしてます。非常に事細かく買った物の詳細から、改ざん不可能な購入日まで分かります。
会社の経理上も、そして税務署の税務調査対策としても、手書きの領収書なんかよりもレシートの方が断然有利なのは明白なんです。
なぜ、それでも手書きの領収書を珍重している零細企業や中小企業が多いのかと言いますと、トップがバカだから「宛名が無いレシートではダメ」とか言ってるのでしょう。それと、役員自身が自分の私物を会社の経費で買った時に領収書で経費にしたいので、レシートで証憑とするのを拒んでいるのかもしれません。
手書き領収書とか時代錯誤ですし、会計上も税務上も不利な物は使うの止めましょうよ。と言うお話でした。
ちなみに、子会社化した会社の帳簿を監査しますと、ほぼ100%の確率で従業員の不正が見つかります。それほど大きくないネコババ程度の事は個別に注意くらいで終了ですが、大きな物になりますと、その不正が無ければ屋台骨がグラついて資金不足に陥る事も無かったのにと思う事も多かったり。
そのほとんどの手口で、手書きの領収書が一枚噛んでおりますんで、社長がゴルフクラブを経費で落とすために手書き領収書止めないよりも、ゴルフクラブ分だけ社長の報酬を増やして、証憑はレシートに変えさせた方がキャッシュフローがよくなる会社が多いと思います。ネコババ程度はどこでもあるので、1日1000円だと、1ヶ月で平日数20として2万円、年間で24万円ですからね(汗;
*1:見本の画像では、全て領収証となっておりますが、税務署では領収書と言う表記を用いる事が多いため領収書と記事中では書いております。