yuan² は、中国語で "元" の発音(pinyin)です

日常のつぶやき + 会社での出来事 + 奥様観察日記

皆さん最近、コメント欄を承認制にするのが流行ってるようなので、私もコメント欄をゲスト可の承認制にしてみました \(^o^)/

クレームとは苦情か

「中内㓛*1」さんってご存知でしょうか?

若い方はご存知無いかもしれませんが、先日イオンに吸収されましたダイエーの創業者でして、昭和の一時代を築かれたカリスマ的な商人です。なんか、私も「若い方は~」とか言うようになってしまったんだなと、今ふと思いました。あれ、なんかちょっと悲しい気がする( ;∀;)

 

私、別にダイエーに勤務していたとかでは無いのですが、なぜかこの中内功さんと直接お話させて頂ける機会が何度かございまして、お会いする度に非常に勉強になるお話を伺わせて頂きました。

ある時「クレームってなにかな?」と私が聞かれまして、思っていた事を正直に申し上げました「お客さんからの、苦情でしょうか」それを聞いて中内さんは少しだけ笑われまして「キミは、どこでもいいから、クレームをした事があるかい?」更にそう私に聞かれました。

これにも正直に「あります」と答えますと、満足そうに頷かれまして「そうか、キミは非常に商売人にとって、ありがたいお客様だ。今後もどんどんクレームしてあげなさい」そう仰られました。私には意味が分からなかったので、真意をお聞きしますと、こう教えて下さいました。 

クレームって言うのはね、お客様の正当な要求だ。お店までわざわざ足を運んで下さったのに、 お買い物をお楽しみ頂けなかった。その理由をお店に教えて下さる、商売人にとっては非常にありがたい意見だ。本当に嫌な思いをしたら、何も言わずに二度と足を運んでくださらない。クレームして下さっていると言う事は、まだ我々にチャンスを与えて下さってる。もう一度、この店に来てやってもいいと言って下さってる。そう言う事だ。

この話を伺った時は、まだ私も若かったので意味は分かりましたが、本当に中内さんが言いたかった事はまだ理解していなかったような気がします。

 

私は商人ではありません。今の立場的に言えば、会社法的には取締役ですので、会社の運営を信託されていると言ったらいいのでしょうか。雇われですが、ある意味では経営者であって、やっぱり物を売ってるわけではありませんので商人ではありません。

そんな私でも、ダイエーを一代であれだけ大きくされた中内さんの、商人としての気持ち・魂って言うんですかね、まだ若かった私ですら、お話を聞いただけで凄く感じました。ただ、中内さんの失敗、ご自身は類まれな才能を持った商人だったのに、経営を任せる事が出来る人を見つける事が出来なかった。それが、最終的にダイエーがイオンに吸収されて幕を引いた、"たったひとつ" の原因だと思います。

 

今日、都内のあるローソンで買い物をしましたところ、ちょっと嫌な思いをしました。クレームしようかなとも思ったのですが、面倒なのでいいやと思ってそのまま店を出てきたのですが、やっぱり後からムカムカしまして、でも「もう、あの店行かなければいいや」って思った瞬間に、この中内さんが仰ってた事を思い出しました。

ローソンは、ダイエーコンビニエンスストアの業態で事業を始める際、アメリカでローソンの営業権を持っていた会社と提携して日本でデリカテッセンを行っていたダイエーローソンと言う会社を母体にしまして、ダイエーコンビニエンスシステムズに社名変更し、日本で初めて47都道府県に出店を達成したコンビニエンスチェーンです。最近の若い人は、ローソンはダイエーがやってたなんて知らないかな(本日2回目w)。

 

もし中内さんがご存命で、ダイエーもあり、ローソンはダイエー傘下のままだったとして、今日のこの私がクレームを諦めた気持ちをお話したら、なんて言われたかなと想像してみました。もしかしたら「申し訳ない」と謝って下さったかもしれません。いや、それ以上に目に浮かぶのは「何でクレームしないんだ」と怒ってる様子ですかね。

クレームのそのお話を伺った時に、こんな事も仰ってました。

若い頃はよくお客様と喧嘩して「おい、なんでこんなに高いだ?」ってお客様が言われるから「高いなら買わなきゃいいだろ」とは言ったものの、どうにか安く出来ないか、問屋中を探しまわってバッタ屋も回って、少しでも安く店頭に並べる事ができた時、前になんでこんなに高いんだって言ったお客様が、文句を言わずに買って帰る姿を見るのが、ボクは無性に嬉しくてねえ。

 

また、別の時にはこんな事も聞かれました「もし、自分が働いてる店に、どう見ても他の店で買ったものをお客様がお持ちになられて、クレームをされたらどうかな?いや、他のお店で買われたものだろうから、そのお店に言うように丁寧にご案内するのは当然なんだけど、キミがどんな気持ちになるのか知りたいんだ」私は正直に「うちの店で買った物じゃないんだから、うちに言わないでくれって思うと、おもいます」そう答えますと、中内さんは「キミは正直だな?普通はね、ボクにこう聞かれると、どうひねって返したらボクが納得するかトンチを効かせるもんだけどね」大笑いしながら、仰ってました。

これも真意をお聞きしたところ、私は全く思いもしなかった答えでした。

そのお客様、他のお店で買った商品をうちで買ったと勘違いなさるくらい、うちのお店をご愛顧下さってるって事だろ?ありがたい事だ。そのお客様がお持ちだった、他のお店で買われた商品、もし、うちのお店に無い商品だったら、早速取り寄せて今度からはうちのお店で買って頂く用にご案内するべきだろう。

 

中内さんの事が書かれた本は沢山あると思いますが、こう言う一つ一つの商人・商売人としての気持ちが書かれた本がもしあったら、アルバイト・パート・正社員、雇用区分は関係なく、読んでいただきたいと思います。

もし無いのでしたら、ダイエーで勤務されていた方、中内さんから直接指導を受けた方も大勢おられるかと思います。是非、多くの方に伝えて欲しいと思います。

 

まだ私が若かりし頃、京都の桂川沿いの "ある" 老舗旅館で何度かお話を伺ったのですが、 出来ればこの歳になってから、中内さんの仰ってる意味がようやく理解出来るこの歳になってから、お話を伺いたかったな。

 

中内さんのお話って、変な英語がちょいちょい入るんで、解りづらいんですけどねwww


*1:氏名の名の部分「いさお」の漢字は「功」の「力」の部分が「刀」になった「㓛」と言う字なのですが、表示できない環境があるかもしれませんので、これ以降は俗字である「㓛」では無く、正字である「功」を使わせて頂きます。