「資本金って、ぶっちゃけ何?」
ブログの下書きを整理しておりましたところ、過去に書きまして日の目を見る事が無かったこんな記事を発見しました。まだ毎日更新をしていた段階で予約用に書いてあったものです。
下書きしたのは約1年前でして「つい最近ではシャープや日本航空の減資して新規株式発行による増資を行うとかのニュースの際」と言う記述に古さを感じますw
このまま埋もれてしまうのも勿体無いので公開しておきます。本当は、新しく書くのが面倒で「いいの発見した!」って方なんですけどwww
今回のブログは、青文字の部分は今回足した部分、通常の黒文字の部分は以前書いた下書きにあったそのままの部分となっております。
この記事、実はいざと言う時のためにずっと前に書いたものですw
そう、もうどうしても今日は書けませんでした~残念!って言う時に、自動的に発動するように仕組んでると言うアレです。
多分、今日の私は仕事で疲れ果てて23時59分59秒までに何か書くことが出来なかったのでしょう。仕方ありませんので、ずっと昔の私がそんな今日の私に代わってブログを投稿します。
先日、と言いますか、この記事を書いている段階では本日の事なのですが、この記事が公開されるのは後日になりますので、先日で書き始めております。
えっと、タイトルの「資本金って、ぶっちゃけ何?」なんですが、ある人に「資本金って、会社が持ってるお金?多い方がいいの?」と言う質問をされました。ごく普通に生活されている人からしますと「資本金」なんて事に関する質問は、税理士さんや公認会計士さんの専門分野だと思われるかもしれませんが、何を隠そう資本金そのものを直接扱っている専門家は「司法書士」です。別に隠してませんけどw
税理士さんや公認会計士さんが扱う分野で資本金に似たものとしては「資産」や「純資産」と言うものがあります。また、純資産は資産から「負債」を引いたものでして、この純資産は「資本」とも呼ばれます。
あれ?「資本」は「資本金」と似てますよね?この資本の中には実は資本金も含まれまして、図式で示しますと、このような関係になります。
資 産 ・現 金 |
負 債 ・借入金 |
純資産 ・余剰金 |
これ、どこかで見た事ありますよね?たま~に、ニュースや新聞、雑誌なんかに載る事もありますし、つい最近ではシャープや日本航空の減資して新規株式発行による増資を行うとかのニュースの際に随分とお目見えました。
この表、日本語では「貸借対照表」または「バランスシート」と言います。名前だけは聞いた事がある方も多いかと思います。左右別にどちらがどちらでもいいのですが、一般的には左側が借方(資産)、右側を貸方(負債)として書く事が多いです。そして、資本金と言う会社の元になるお金が何故か表の右側の負債と同じ側に入っているのですが、これは「出資者から無期限で借りてるお金」と言う資本金の意味を考えて頂ければ分かるかと思います。
この表の中で、税理士さんや会計士さんがあまり気にしない数字、それが資本金でして、なぜかと言いますと資本金だけは「自分で決める」金額だからです。それ以外の数字が事業活動から計算しないとならないのとは違い、税理士さんや会計士さんが必死に帳簿とにらめっこする必要が無いからなんです。
司法書士がお客さんにお願いされて会社を作った時、まあ別に自分で作ってもいいんですけどw 会社を作った直後の貸借対照表はこんな感じになります*1。
資 産 |
負 債 |
純資産 |
超分かりやすいですよねw この会社の資本金は100万円で、現金が100万円ある。「なるほど、資本金100万円の会社だから、現金100万円あるんだな」と言うわけです。負債無しってどれだけ優秀なんだって言う感じですが、どの会社も作った瞬間だけはこの状態ですw
次に、この作った会社で荷物を配達するために車が必要だったとします。この車がコミコミで120万円だったとして、資本金の100万円と社長からの借り入れ20万円の合計120万円で車を買いますと、貸借対照表はこのようになります。
資 産 |
負 債 |
純資産 |
あれ?さっきまで資本金と言って現金があったのに、車を買ったら現金は無くなっちゃいましたが、資本金は100万円そのままです。しかも、一度買った車なんてもし即効で売り飛ばしたとしても、買った金額以上になる事は無いでしょうけど、買った価値でそのまま資産となってます。
仮に、買った直後その日に全損事故を起こしてしまい価値が0になったとしますと、貸借対照表はこのようになります。
資 産 |
負 債 |
純資産 |
あれれ?資産と呼べる車が無くなってしまったので資産はゼロ *2に、借入金の20万円はそのまま残り、資本金が100万円そのままなので、左右の合計を合わせるために余剰金と言う項目でマイナス120万円として計算するしか無くなってます。ってコレ何か変ですよね?資産が無くなってしまったんだから、資本金を無くせばいいと思いますよね?でも、資本金は会社の戸籍とも言える登記に記載されてますから、無闇矢鱈に0にするワケにいかないのです。
この、純資産がマイナスになった状況状況、これを債務超過と言います。例えば、今回の全損事故をした車を資本金と同じ金額の100万円で買った車でしたら、純資産はゼロにしかなりませんので債務超過にはなりません。ただ、そもそもお金が全く無い状態、そしてお金を稼ぐ手段が無い状態ですので会社として立ち行かなくなってますから、必ず借り入れが発生するでしょう。その段階で債務超過と言う事になります。
いずれにしましても、資本金の金額は100万円のまま変化がありませんから、法務局へ行って会社の登記簿を見てもこの状態は分からないわけです。
つまり、貸借対照表は法務局で登記されていない以上、登記簿に記載されている資本金の額と言うのは「過去にどれだけお金を集めた実績があるのか」と言う、過去の栄光に対する一つの指標でしか無いわけです。当然、集めたお金ですから会社を閉鎖した時には返さなければならない「負の財産=負債」でもあり、大きければ大きいほど良いと言うわけではありません。また、会計上や税務上では、資本金を元に計算する事も多いため、一概に過去の栄光とも言えない部分もありますが、資本金の金額を見ただけでは何も分からないと言う事は同じです。
もし、これ「会社始めて直ぐにお金も車も無くなっちゃったんで、一からやり直したい」となったら、事業継続する方法は3つあります。
・社長からの借入金で会社を運営する
・一旦会社を精算して、再度会社を設立し直す
・資本金を増資して、健全な資金状態にする
現実的には一番上の「社長からの借り入れ」でしょう。例えばもう100万円、社長から借り入れまして事業を継続する場合、その時の貸借対照表はこのようになりまして、なんとも危険な香りがする貸借対照表ですw
資 産 |
負 債 |
純資産 |
次の方法は「これは無いかな?」と皆さん思うかもしれませんが、将来の事を考えますと、実は一番良い方法だったりもするんです。変んな履歴を残しませんから。とは言っても、経理上のやりくりだけで一度も決算を迎えて無ければ、通常は車の全損廃車くらいなら、誤魔化して社長の個人の物だった事にしてしまう事も出来ますけどw
それは置いておきまして、一番下の増資ですが、これあまり意味は無いので普通はこの程度ではやりません。先ほどのシャープや日本航空の時にも登場した増資とか減資なんですが、手続きにも随分と手間もお金もかかったりしまして、この程度の事でやっておりますと手数料貧乏になってしまいますw それでも大企業でしたら、当然手数料以上のメリットがあるので行うわけです。まあ、手数料貧乏になると言っても、それでもどうしてもと言えばどの会社でも手続き上は可能でして、例えば先ほどの貸借対照表の会社でもう100万円増資したとしたら、こんな感じの貸借対照表になりまして、キレイさっぱりと言うわけです。
資 産 |
負 債 |
純資産 |
この3つの事業継続の解決方法で、一番上の借り入れする方法でしたら経理上の問題ですので税理士さんや会計士さんだけで完了しますが、2番目と3番目の手続きには法務局への登記申請が入るため、扱うのは司法書士と言うわけです。
資本金と言うものが、実は計算上だけで存在していて、会社の良い悪いをそれだけで判断出来ないと言う事がお分かり頂けたでしょうか?最後の事業継続する方法については、結局は用意するお金は一緒だったとしても、手続き方法によってお金の意味が違ってくるだけなんです。
ただし、設立時の資本金の額に関しては、実際に会社を作る際には税務上で有利になりますように、1000万円未満の資本金で設立する場合が多いです。設立から2年間消費税の支払いが不要であったり、税率が低くなったり、交際費を損金計上できたり色々ありますんで。
最初に書きました「資本金って、会社が持ってるお金?多い方がいいの?」と言う質問をして来た「ある人」とは、これ中学生です。いつもお世話になっておりますお隣の、体育会系の会社さんに職業体験で来ていた中学生からの質問の時に、なぜか私も呼ばれましてお付き合いしましたところ、このような質問があったと言うわけです。
目の前でもう少し分かりやすく、質問があれば都度答えながらでしたが、中学生にもなんとなく「資本金」と言うものが分かったような気になってもらう事には、どうやら成功したようですww
どうですか、過去中学生であったろうオッサン&オバサン大人の皆さんは、お分かり頂けたでしょうか?