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日常のつぶやき + 会社での出来事 + 奥様観察日記

皆さん最近、コメント欄を承認制にするのが流行ってるようなので、私もコメント欄をゲスト可の承認制にしてみました \(^o^)/

極限まで止まらない対策 か 止まっても困らない対策か

昨日発生しました、埼玉県での東京電力送電設備の火災による停電の影響が、都内の中央官庁でもあったと言う報道で、ちょっとビックリしております。

headlines.yahoo.co.jp

1つの驚きは、純粋に中央官庁での停電が発生したこと。もう1つは、中央官庁で停電が発生した事実を公表してしまう危機管理体制です。

 

中央官庁と言えば、有事の際には全力で対処しなければならない場所で謂わば本丸です。本丸がいとも簡単に停電するようでは、これは困ったものです。火災で電気が止まったんだから仕方ないと考えるのは早慶早計でして、重要なビルなどにはスポットネットワーク方式受電と言う、別ルートから3経路ないしは4経路の送電を受けることにより、例え1経路からの受電が出来なくなっても契約通りの電力消費が出来るようにする事が可能です。また、最悪でも1経路から受電ができていれば、消費電力を落として重要なものだけ電気を止めない事も可能でして、その間に自家発電の立ち上げなどが可能になると言うわけです。

私は超文系ですが、不動産関係なんかの資料を読んだり、実際にオフィスビルやデーターセンターを借りたりする時の説明なんかで知っておりますので、よもや中央官庁でそのようになってないとは全く思いもしませんでした。 

 

もう1点ですが、これ、今回の火災発生場所と停電発生の様子そして経路が報道され、中央官庁のどこで停電が発生したのかまで公表しますと「はっは~ん、新座を攻撃すれば、あそこの官庁は停電するんだな?」と悪の枢軸にバレるわけです。ここは、報道関係から問い合わせや取材があっても「現在確認中」で報道熱が冷めるまで放置するか、「停電の報告は無い」で押し通して欲しかった。この報道と発表の組み合わせは、危機管理上、非常に問題があると思います。

ちなみに、うちの会社や関係先は停電が発生した場所は一箇所もありませんでした。仮に東京電力からの送電が停止し、自家発電設備が稼働又はUPSCVCFが稼働した事業所があったとしても、停電はしてませんと言い切れますんで。 

 

インターネットってあるじゃないですか?w いや、このブログもそうですよね。インターネットを利用して見ております。インターネットって、そもそも止まらない事を前提に作った仕組みじゃありません。「どこか経路上で不具合があっても、多少の速度低下や効率悪化があっても、通信さえ確保できていればいいじゃないか」 そんな感じで作られた仕組みでして、現代のようなミッションクリティカルな用途には、本来はやや不向きです。すげー、ミッションクリティカルとか言葉使っちゃったよwww

じゃ、インターネットと対極の「速度の低下や効率悪化を発生させずに通信も必ず確保する」ものは何かと言えば、加入電話であったり、専用線であったりするわけです。


では、例えば日本から英国まで、インターネットで24時間繋がっている状況と、24時間専用線で繋がっている状況、どれくらいコストが違うのでしょうか?

 

インターネットで2つの地点を結び、擬似的に専用線のように接続する仕組みにVPNと言うものがあります。バーチャルプライベートネットワークの略でして、設備さえ整えれば、インターネットに接続されている2地点間の経路上での傍受・盗聴に対する安全性は、ほぼ担保されております。これ、日本と英国でそれぞれインターネットに加入するだけですんで、それなりの回線で加入しても日本で月額1~2万円程度、英国でも100~200ポンド(約1万3千円~2万6千円)程度です。

実際、うちの会社で日本と英国をVPNで常時結んだ回線がありますが、日本側の回線が月額6万円程度の回線、英国側の回線が月額4万円程度の回線でして、日英双方の月額合計10万円程度で比較的良い回線環境下でのVPN構築が可能です。通信速度は、一番速いときで10Mbps前後くらいは出ます。 

 

一方、昔からよく言われる専用線、一体いくらかかるのかと言いますと、インターネット上では料金表が一般的には公開されていないようです。実は以前、国際専用線を引こうかと考えた事がありまして、資料一式を通信事業者さんから頂いた事があります。実に不思議な事に、大手3社さんで全く同じ料金でしたw

日本から欧州の主要地域までの国際専用線月額(単位:万円)

| 速度 | 64K | 128K | 256K | 512K | 1,024K | 1,536K | 2,048K | 6,144K |
| 料金 |  77 |  118 |  185 |  283 |    382 |    492 |    560 |  1,205 |

一番安い 64Kbps で接続でも、月額77万円の費用が必要となります。ただし、インターネットを利用したVPN接続が経路上の安全しか担保されないのに、こちらは専用線ですので侵入経路もありませんから非常に強固な安全性と、インターネットが不安定な時や場合によってはインターネットが使えないような状態になっても通信が可能です。

 

これ、どうしても切れては困る通信には必要なのかもしれませんが、月額10万円程度で最高10Mbps程度が通信出来るVPN回線と、常に64Kbpsで月額77万円ですと、比べるのにも無理があるんじゃないかと、そんな世界です。

だったら、切れる事はよほどの事が無い限り無いのであれば、月額10万円程度のVPN回線でいいのでは無いか。そして予備を設けたり、日英双方で他社のインターネット回線を使って同じ構成をもう1ペア予備として作った方がいいのでは無いか。そんな感じにもなってきます。


インターネットなど通信回線の話になってしまいましたが、元に話を戻します。

 

スポットネットワーク方式受電と言う、非常に停電しにくい方式があると言うお話をしましたが、これを実現するには電力会社側にも使用者(需要家)側にも、非常にコストがかかります。もし、このスポットネットワーク方式受電が通信回線の専用線のようなものだとしたら、一昔前に比べて非常に安価になったUPSCVCFなどの無停電装置を導入して、いっそ停電しても困らない仕組みを作った方が、トータルとして安くなるのでは無いかと思います。

 

日本の電気料金は非常に高いと有名ですが、これは停電をしないように、しないように努力した結果でもありまして、発想を変えて停電しても困らない仕組みを作ったら、電力会社のコストも下がり電気料金も安くなり、しかも、各々で停電しても困らない仕組みを導入しておけば、震災時などにも有効でしょう。

 

その一つの解決策としまして、スマートグリッド受電と言うものが考えられております。だれかさん(id:fxse)も先日電力関係の事を書いていた時に話題にしておりましたが、スマートグリッドには蓄電の設備も含まれるので、小さな地域単位で停電しても困らない仕組みを持つと言う事にもなります。

ここら辺、電力会社に全部丸投げでは無理ですので、国策として推進する必要があるのでは無いかと思っております。特に震災が多い日本、電力消費が多い先進国としては、近々の課題であると思うのですが。