yuan² は、中国語で "元" の発音(pinyin)です

日常のつぶやき + 会社での出来事 + 奥様観察日記

皆さん最近、コメント欄を承認制にするのが流行ってるようなので、私もコメント欄をゲスト可の承認制にしてみました \(^o^)/

秘書子が拗ねる【後編】

いま、英国夏時間で9月10日午後11時半くらいです。日本では翌11日午前7時半、オーストラリア東部時間では午前8時半くらいです。  

 

さて、昨日の前編に引き続き今日は「秘書子が拗ねる」後編なんですが、元々が前後編にして書くつもりだった記事では無いので、中身が薄くなるのはご勘弁下さい。薄い本は、なんとか厚くして御覧くださいww

昨晩と言うか、日本時間で言えば既に一昨日になるんですが、ここまで書いて力尽きたわけです「少し不貞腐れているのには理由がありまして、彼女、英語と仏語には自信があるんです。これだけじゃ何の事かさっぱりだと思うのですが、」

それでは、ここの続きからです。


少し不貞腐れているのには理由がありまして、彼女、英語と仏語には自信があるんです。これだけじゃ何の事かさっぱりだと思うのですが、実はどこかの誰かさんの事件体質が私に伝染ったようでして、宿泊しているホテルで事件が発生しました。まるで、名探偵コナンのようですw

 

場所や事情、関わった理由なんかはちょっと伏せさせて頂きますが、同じホテルに日本人のお客さんがお泊りでして、昼間は日本語を話すスタッフもいるのですが、夜は英語を話せるスタッフしかおらず、その日本人のお客さんが体調不良を訴えた時にたまたま我々(私と秘書子3号)もその場におりまして、とりあえず簡単に症状をホテルのスタッフに伝える事、ホテルのスタッフがメディカルアシスタントに連絡を取り、メディカルアシスタントからの質問を通訳する事まではお手伝いしました。

秘書子3号さん、英語と仏語には自信があるだけでは無く、英語も仏語もそれなりの資格も持っておりまして、仏語に関しては公的な通訳の登録もあったりします。ですので、万が一にも意図しない間違った通訳をしてしまったりする事は非常に考えにくく、それは本人の自信でもあるわけです。

 

体調不良を訴えた方はやはり病院へ行った方がいいと言う、メディカルアシスタントからのアドバイスがありまして、ただその日本人の方は観光がどうにか程度の英語しか話せず、病院で英語で症状を訴えたり、医師からの質問や指示の英語を理解するのは難しい感じでした。

我々が宿泊していたホテルですが、それなりに名の通ったホテルですので、それなりの方がお泊りでしょうし、ホテル側としても各種手配は可能な限り迅速に出来るはずです。

ただ、夜と言う時間の関係もあり、医療通訳が可能な通訳者を直ぐに手配するのが難しいので、秘書子3号に一緒に同行して通訳をしてもらえないかと、ホテルの方からも、その日本人の方からもお願いされまして、

その場で私がお断りしました。

で、細かい描写は除きまして、結果としたら「社長は私の語学力を信用してくれない」と言う事で秘書子は拗ねたわけです。

 

私が秘書子に病院への同行を許可せずに断った理由

医療通訳は専門の者でも、常に訴訟のリスクを負っている。

・無料の善意で行った通訳でも、そのリスクは同じ。

・通訳が完全でも、後で医療ミスが通訳のせいにされる事も多い。

・怪我では無く、体調不良の場合、診断ミスが発生する可能性が高い。 

・英国での事でも、訴える側が日本人で、訴える先が日本人通訳と英国人医師であれば、日本で訴訟が簡単である通訳が訴えられる可能性が高くなる。

ホテルには中国語を話せるスタッフがおりまして、都合がいいのでこれらの理由を中国語でそのスタッフに伝えましたところ、丁重に「すべて承知いたしました。なんらお客様には不都合が無いように、取り計らいます」と受け入れてくれました。これ、さすがに体調不良を訴えている日本人に説明するものでもありませんからね*1

 

まず、上から2つの理由

医療通訳は専門の者でも、常に訴訟のリスクを負っている。

・無料の善意で行った通訳でも、そのリスクは同じ。

これは、ホテル側が「夜と言う時間の関係もあり、医療通訳が可能な通訳者を直ぐに手配するのが難しい」と言っていたように、医療通訳は専門家しか出来ない非常にリスクが高い通訳でして、夜間に探すのは大変なんです。命に直結する事ですから、有料無料は問わずに、リスクが掛かるのは同じです。無料のボランティアでしたら、ほんの僅か、裁判での心象が変わる程度でしょうか。実際の裁判では「自分の外国語能力を過信し、原告が治療を受ける際に必要な医師との疎通を妨げた罪は、ボランティアと言えども見過ごすことはできない」まで判決文で言われることすらあります。

 

つぎの

・通訳が完全でも、後で医療ミスが通訳のせいにされる事も多い。

これは、通訳が入る以上、患者は医師の話す言葉を、医師は患者が話す言葉を理解できません。ですので、お互いにお互いが言ってる事を両方理解できているのは、通訳だけになり、一種のブラックボックス状態なわけです。

医療ミスがあった際に、通常であれば医師は患者のせいに、患者は医師のせいに、お互いに責任をぶつけあうのですが、通訳が入る事で、医師と患者の責任の向け先が通訳と言う同じ共通の敵を作れる状態になるわけです。こうなるともう、医師の側の弁護士、患者の側の弁護士は共同して通訳の責任になるように、ウソはつかないようにでも通訳の責任になるように証拠を出してきます。それが一番、医師と患者にとって幸せになれるからです。

 

つぎの 

・怪我では無く、体調不良の場合、診断ミスが発生する可能性が高い。

これはもう簡単。今回の件が「骨折った、病院行って通訳して欲しい」だったら、どうぞどうぞと、秘書子を送り出しました。レントゲン撮って、骨の位置を直して、固定して、旅行が可能かどうか医師が判断してそれを通訳しておしまいですから。

体調不良の場合、風邪のような症状だったとして病院へ行き、患者さんが「風邪のようなんですが」これを通訳して、医師が風邪だと診断した場合。もし、風邪では無くて髄膜炎で風邪と同じような症状が出ていたら?医師は「通訳が風邪だと断定したから、風邪の治療をしたんだ」そう開き直るでしょう(認められるかは別問題ですが)。患者は「風邪のようだと言っただけ」と、これまた言うでしょう。体調不良という、問診が重要なことだからこそ、通訳は非常に難しいんです。

 

最後のこれ

・英国での事でも、訴える側が日本人で、訴える先が日本人通訳と英国人医師であれば、日本で訴訟が簡単である通訳が訴えられる可能性が高くなる。

よく誤解されるんですが、日本の裁判所で民事裁判をする時には、日本国の法律で裁判を行ってると言う事。これ、残念ながら全くハズレです。

もし、今回の通訳で何か問題があり民事裁判があった場合、双方日本人で日本在住者ですから、日本の裁判所が管轄になります。そして、事件があった場所は英国ですので、使われる法律は英国の法律になります。「えっ?」って思うでしょ?いや本当なんです。

これ「法の適用に関する通則法」と言う、どこの法律を適用させるのかと言う法律にちゃんと書いてありまして、結婚や離婚はどこの国の法律、民事裁判はどう言う状況で発生したらどこの国の法律、まあ色々事細かく書いてあります。法律の全文改正が平成18年にありましたが、元になった法令は明治31年に作られておりまして、由緒正しき法律です。

ですので、どんな事が書いてあるのか分からない英国の法律で裁かれるような事になるリスクは、所属会社の責任者として、大切な従業員に負わせるわけにはいきません。 

 

ちなみに面白いところだと、結婚は住んでる場所に関わらず結婚をした場所の法律で有効なら有効でして、離婚は基本的には住んでる場所の法律で判断されます。ただ、夫婦の国籍が一緒の場合は、その本国法でもいいよって書いてあります。

例えば日本人同士の夫婦が海外に住んでいて離婚する場合、現地の民法の規定で離婚してもいいし、日本の規定で離婚してもいいわけです。しかし、日本人とそれ以外の国の人が結婚し、全く関係ない第三国に住んでいた場合「法の適用に関する通則法」により日本の戸籍上の離婚をするには、その第三国で有効に離婚を成立させた書類、一般的には判決が必要になります。もし、夫婦で日本人側の住民票が日本にあれば「法の適用に関する通則法」によって、日本の役所でも領事館でも日本方式で離婚届を受理できるようになります。

 

もう一点、この「法の適用に関する通則法」には重要な記載がありまして、日本国の法律の中で唯一「重国籍を容認」している法律なんです(多分)。

第三十八条  当事者が二以上の国籍を有する場合には、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする。ただし、その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする。

最近、やけに重国籍を批判する風潮がありますが、我々の年代ですと、改正国籍法の公布以前ですので、出生時からの重国籍は合法的に保持可能です。その辺、書かれている記事が無いので少々気になっております。

 

ちょっと本筋から離れてしまいましたが、そんな訳で秘書子3号は拗ねていたわけです。私としても、若い彼女が拗ねる理由は分からなくも無いですし、彼女も私が止めた理由も理解はしてくれていたと思います。

ただ、結果としては朝から拗ねたままの状態で、それでも業務があったらまだマシだったのでしょうが、なんの因果か何かを待ってる状態ですので、観光に毛の生えたような用事くらいしかする事がございません。

 

朝から仏頂面の3号と朝食を食べ「俺、外に行くけど、お前はどうする?」って聞けば「それは、一緒に行かなくてもいいと、来なくてもいいと、仰いたいのでしょうか?」みたいな感じでしてヤレヤレ。しかし、勤務先の社長にここまで言っちゃうのって、若いっていいな(汗;

で、こっちが何故か気を使いまして、3号が行きたがってたロンドンアイに行かれるように、ロンドンアイが目の前にあるジュビリー・ガーデンズに行きました。昨日書きました、映画けいおん!で演奏した公園です。そして、ロンドンアイを指差し「せっかくだから、乗る?」って聞いたら、一瞬嬉しそうな顔をしたのですが、直ぐに仏頂面に戻りまして「社長が乗ると仰るなら同行いたします」とか、随分と無理をしておりましたw

ロンドンアイ降りまして「いつまで、そうしてるの?」と聞きますと、3号もこの辺が潮時かとは分かっていたのか、答えは「わかりません」だそうですwww

 

ほんと、中学高校の学校の先生のような心境です(汗;

 


*1:一応、そのスタッフには、日本語が通じる医師のいる病院のリストがあるHPのURLはお伝えしておきました。まあ、ホテル側でも分かってはいるでしょうけど。